エナリスブログ

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アグリゲーター(特定卸供給事業者)として分散型エネルギーリソースの活用に挑戦

2022年05月30日

脱炭素社会への取り組みが加速する中、電力の供給源として「分散型エネルギーリソース」に注目が集まっています。

分散型エネルギーリソースとは、蓄電池や自家発電設備、太陽光発電設備、電気自動車など、電力の需要側に存在する設備のことをいいます。こうした設備は、今まで、企業や個人が自らの必要性に応じて設置し、もっぱら自らのために使用してきましたが、近年では、IoTを使って小規模な電力を集めて大きな力にし、社会で不足する電力の補完に役立てる仕組み「VPP(バーチャル・パワー・プラント)」が構築され、分散型エネルギーリソースの可能性が広がりつつあります。

分散型エネルギーリソースのとりまとめを行う事業者を「アグリゲーター」と呼びます。2022年4月1日から、一定の条件[1]を満たすアグリゲーターは「特定卸供給事業者」として経済産業大臣への届け出を行うことが義務化されました。エナリスも届出を行い、第一号として受理されています。

「特定卸供給事業(アグリゲーター)制度」とは何か?アグリゲーターとしてエナリスが目指すものは何か?経営企画部の鳥越啓滋、商品企画部の沼田大輔、ソリューションSE部の稲内圭に聞きました。

Q:届出を行うことが義務化された背景にはどのようなことがあるのでしょうか?

鳥越 : 経済産業省は制度化の背景を3つ挙げています [2] 。1つは、東日本大震災以降、分散型エネルギーリソースの導入が拡大し、これらを取りまとめて大きな電源として供出するビジネスが新たなビジネス領域として注目されていることです。2つめは、分散型エネルギーリソースの効率的な活用が、さらなる普及拡大や災害時・緊急時のレジリエンス向上の観点から重要であることです。3つめは、こうして拡大する分散型エネルギーリソースを供出力や調整力として活用するビジネス環境を整えるためにも、その量を国がきちんと把握することの必要性です。

こうしたことを背景に、アグリゲーターは、1,000kWを超えて集約した分散型エネルギーリソース [2] を、小売電気事業者、一般送配電事業者、配電事業者などに供給する役割を担います。 アグリゲーターは、一般送配電事業者のシステムとも直接接続することになりますから、サイバーセキュリティにおいても厳格な対策が求められます。また、制御する対象のリソースや連携する事業者(RA)に対しても、責任を持つ必要があります。

経営企画部の鳥越啓滋
▲ 経営企画部の鳥越啓滋

Q:アグリゲーターに期待されていることは何でしょうか?

稲内: かつては、一般送配電事業者が分散型エネルギーリソースの保有者と直接連携し、個別に電源の供出依頼などをしてきましたが、アグリゲーターが間に介在することで、より多くの分散型エネルギーリソースを拾い上げることが期待されています。取りまとめたリソースは、需給ひっ迫時に調整力として活用したり、2021年4月に開設された需給調整市場に入札したりしてマネタイズすることが可能になります。今後、アグリゲーターは、とりまとめる分散型エネルギーリソースをさらに拡大していくこと、必要なときに必要なだけ過不足なく供給できるような技術を開発していくことが求められていると考えます。

ソリューションSE部の稲内圭
▲ ソリューションSE部の稲内圭

Q:エナリスはアグリゲーション事業をどう位置付けていますか?

沼田: 今後拡大していくべき重要な事業の1つと位置付けています。エナリスは、2016年度から経済産業省のVPP実証事業に参画してきました。2021年度には、エネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネス(ERAB)を専門に行う部署を立ち上げました。太陽光発電設備や蓄電池といった分散型エネルギーリソースが増加していますが、再エネの変動不安を補い電力の安定供給に寄与することや、災害時のレジリエンス、地域活性化などの面からみても分散型エネルギーリソースにはポテンシャルがあるとみています。

また、ここまで需要側リソースのアグリゲーションについて述べてきましたが、変動しやすい再生可能エネルギーをとりまとめて変動を抑える「発電側の再エネアグリゲーション」も期待されています。需給管理を創業事業とし、発電から電力供給までを担うエナリスならではのアグリゲーションサービスの提供を目指しています。

商品企画部の沼田大輔
▲商品企画部の沼田大輔

Q:今後、事業拡大のカギはなんでしょうか?

稲内: いろいろありますが、まずは分散型エネルギーリソースを有効活用するアグリゲーションビジネスという分野があること自体をもっと社会に知っていただきたいですね。社会には分散型エネルギーリソースを所有している企業や個人が相当数いらっしゃいます。でも、すべての方が、VPPといった活用法を知っているわけではないというのが実情です。まずは知っていただき、関心を持っていただく方を増やしていくことが、とても大事なことだと考えています。これも、アグリゲーターとしてエナリスの重要な役割だと思っています。

[1]:分散電源などを保有する事業者や、電気の供給能力を有する他の事業者(発電事業者&FIT電源除く)から1MWを超えて集約した電源を、小売電気事業、一般送配電事業、配電事業、特定送配電事業に供給すること

[2] :小売電気事業や発電事業と兼業する場合はそれぞれ要件が異なる(経済産業省『特定卸供給事業の届け出に係る事業者説明会』P6参照)

 写真はすべて©ENERES

※撮影時のみ、マスクを外しています。

取材・文責 エナリス広報部