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活動報告

スポーツの力で環境意識に改革を!米国シアトルで開催された
「グリーン・スポーツ・アライアンス」体験レポート!!

2023年08月04日

やっと海外にも行けるようになってきた今日この頃。
エナリスも海外企業とのアライアンスや、海外の先進的な技術・事例導入に向けて活動をはじめています。

6月には、みらい研の竹島がシアトル出張に。今回は竹島から、現地での体験をレポートしてもらいます!

目次

「グリーン・スポーツ・アライアンス」の2023年サミットに参加

スポーツは莫大な動員数を誇る巨大ビジネスであることから環境への負荷が大きい分野です。
試合開催時のエネルギー使用量、廃棄物量や水使用量は膨大であり、観客が会場に来る移動によってもかなりの環境負荷を与えます。

マイクロソフト共同創設者ポール・アレンは、スポーツによる環境負荷削減を目標に、4大スポーツを含めた6つのプロリーグのチーム、米環境省や大学などの団体をパートナーに迎え「グリーン・スポーツ・アライアンス」という非営利団体を2010年に設立しました。
スポーツが持つ巨大な影響力を、ファンやスポンサー企業等の環境に対する意識改革に活用すれば、社会に大きな変化を生み出すことができるのではないか。コロナ前まで年1回開催していたグリーン・スポーツ・アライアンスの2023年サミットが、2023年6月26日(月)~2023年6月28日(水)の期間、米国シアトルのClimate Pledge Arenaで行われるとのことで、私も参加してきました。

※米国4大スポーツ
アメリカンフットボール(NFL)
野球(MLB)
バスケットボール(NBA)
アイスホッケー(NHL)

※米国グリーン・スポーツ・アライアンス
多くのスポーツチーム、リーグ、スポーツ施設、支援企業、団体と連携。現在メンバーとしてはプロと大学等のアマチュアを含め400団体を超え、同様にスポーツリーグも15団体以上、また関連企業、NPO団体、官公庁等が登録

DXとGXが施されたCO2排出量実質ゼロの「Climate Pledge Arena」

サミットの会場となったのは、米国西海岸北部に位置するシアトル、観光名所スペースニードルがあるパーク内のアリーナ「CLIMATE PLEDGE ARENA(クライメート・プレッジ・アリーナ)」。

実は、このアリーナがスゴイんです!

【CLIMATE PLEDGE ARENA(クライメート・プレッジ・アリーナ)基本情報】
● 1962年シアトル万博時に建造
● 当時の特徴的なルーフデザインをそのまま残し2021年改修工事完了
● シアトル・クラーケン(ホッケー)、シアトル・ストーム(バスケ)の本拠地
● シアトルに本社を構える米国アマゾンが、シアトル市のRFPに対する施設命名権を$300~400 Million(約500億円)で取得したものの、企業名や商品名を付けない特徴的な使い方で注目
● エンタメ初のゼロカーボン認証取得
● 世界初のオール電化アリーナ

アリーナの名付け親は米国アマゾン!?

実際には環境への影響を減らしていないにもかかわらず、環境にいい企業・商品であるかのように見せかけるグリーンウォッシングの問題意識が高まっています。そんな中、アマゾンは地元シアトルの伝統的なアリーナの命名権を$300~400 Millionで取得。

通常はPR目的で企業名や商品名をアリーナ名に付けるものですが、アマゾンは“あえて”付けず、気候変動対策へのコミットを促す象徴として、アリーナ名をClimate Pledge Arenaにしたようです。以後、本アリーナには有名なアーティスト等からのライブ使用の申し出が増え、アリーナ使用者は当たり前のように環境に配慮したイベントを行うようになったんだそうです。

©Alabastro Photography

アリーナの特徴

① カーボンゼロ

● 化石燃料を使わず、施設内の調理、空調、機械系統から製氷車に至るまでの全ての設備が電化されているためScope1の排出量がゼロ
● 電力は、アリーナや駐車場、練習施設屋根上のオンサイト太陽光(発電容量1.2 MW、年間再エネ発電量570,000 kWh)から供給し、不足分は近隣からオフサイト再エネを調達しており、Scope2の排出量も実質ゼロ
● アリーナ利用に伴うScope3の排出量を削減することでカーボンゼロな運用が可能
● 試合チケット保有者は電化されたモノレール等の公共交通機関を無料で使用可能
● アリーナ利用者(来場者、チーム、アーティストなど)の移動を追跡し、削減しきれないカーボンを多めにオフセットすることをイベント主催者に義務付け

② 廃棄物ゼロ

● 堆肥化可能なゴミとリサイクルのゴミ箱を多数設置
● シンプルなデザインや表示で利用者の注意を喚起し分別を促す
● 2024年までにプラスチック袋ゼロを目指す
● アリーナの飲食で使用する食べ物の75%以上を地元の生産者から調達
● 未使用分は地元コミュニティーの食料支援プログラムに寄付

③ 節水

  • 雨水をアイスリンクの氷や壁に植えられた植物に使用
  • 節水トイレ、節水シャワーの設置
  • 給水所を多数設置し水筒の持参を推奨

いざ、GREEN SPORTS ALLIANCE SUMMITへ

©Alabastro Photography

サミットのポイントメモ

  • サステナビリティの推進には、①気候変動(Climate)、②平等(Equality)、③余裕(Affordable)が必要
  • 最後は損得勘定になる従来サステナビリティ推進の限界
  • 頑固にする部分と柔軟に取り組む部分のバランスをちょうど良くあわせもたないとなかなか前に進まない
  • 前に進めるにはコラボレーションが必須
  • 企業間パートナーシップを組み、アイデアをシェアして人々の行動を変革
  • スポーツは巨大な影響力を持っており、人々を繋いで大きな流れを作り出すメディアになる存在
  • スポーツというメディアを通した企業のブランディングと市民の意識向上
  • その裏で、サステナスポーツを通したビジネス機会を創出
  • スポーツ組織やパートナー企業の経営者が社会における組織本来のパーパスと深く向き合い、それを事業として遂行する強力な起業家精神とリーダーシップが成功には必要

サミットに参加して

グリーンスポーツアライアンスのサミットに参加していろいろな方と話している中で、有名なスポーツ関連の団体や企業の方だけでなく、クライアント企業のサステナビリティをサポートするコンサルティングやアドバイザリー企業、サステナビリティと銘打った商品やソリューションを提供するベンダー企業の方も多く参加されていることに気づきました。関係者に聞くと、コロナ前に開催したサミットではそれほど参加していなかった層とのことです。本サミットの規模を拡大するため運営側からパートナー企業に参加を呼びかけているものの、世界規模でサステナビリティ経営推進の加速やグリーンスポーツアライアンスのメディアとしてのポテンシャルに注目し、自ら集まってきている企業も多いのではないかとのことです。

日本でもサステナビリティ経営の動きは強くなってきていますが、今後、サステナビリティ系のビジネスとして下記2つには一定のチャンスがあるのではないかと思います。

A) サステナビリティ経営をキーワードにしたブランドストラテジスト
B) パートナーメリットを活かした商品やソリューション提供者

特にBに関して、パートナー連携の組成と拡大、有効な商品やソリューション開発を早期に行い、上手にビジネスとして組み合わせることで、新しいビジネスチャンスが生まれるのではないかと感じました。

おまけ

One Tree Planted社からサミット参加者1名につき10本の木を植えたとの連絡と証明書を発行いただきました。

② 市内の移動はLIMEのスクーターや自転車を使用
KDDIが出資するLIMEは一時日本から撤退していましたが新型コロナの感染も落ち着き法改正も行われた今後に期待

③ アマゾン本社エリアにてアマゾンGO

④ 他スタジアムの見学

文責 エナリス広報部

エナリスジャーナル