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エナリス初のJ-クレジットを発行!自家消費分の環境価値をJ-クレジットに

2023年11月10日

2023年9月、エナリスは沖縄の太陽光発電所で生まれた「環境価値(CO2排出量を削減したという価値)」をJ-クレジットとして発行しました。エナリスにとって初めてのJ-クレジット発行です。
今回のブログでは、そもそもJ-クレジットとはどういったものなのか、エナリスのJ-クレジットの特徴はなにかなどについてお伝えします。

J-クレジットとは?

日本で活用されている主要な環境証書には、『非化石証書』『グリーン電力証書』『J-クレジット』の3つがあります。

『非化石証書』は、非化石燃料で発電していることを証書化したものです。非化石燃料には原子力も含むため、流通量も豊富で価格が比較的安価なのが特長です。

『グリーン電力証書』は、あらかじめ登録された再エネ発電設備から発電された電力であること=身元のハッキリした再エネでありCO2排出量がゼロであることを証書化したものです。

いずれの証書もkWh単位で取引され、電力分野におけるCO2排出係数の削減に活用できます。

他方、『J-クレジット』は、電力分野に限らずカーボンニュートラルにつながる幅広い活動を網羅しています。具体的には、<省エネルギー等><再生可能エネルギー><工業プロセス><農業><廃棄物><森林>といった6分類で区分され、さらに<空調設備の導入><植林活動><太陽光発電設備の導入>など、60以上に分けられた方法論で証書はつくられます。kWh単位ではなく、「t- CO2(トンシーオーツー)」単位で取引されることが大きな特徴で、電力分野だけでなく他の企業活動にも活用することができます。

拡大する『J-クレジット』のニーズ

気候変動問題と経済・社会的課題の同時解決に向けてカーボンプライシングの注目度が増す中、クレジット取引や排出量取引が本格化する傾向にあります。GXリーグにおいて、現状では、『J-クレジット』と『JCM(二国間クレジット)』の2つのみが取引対象とされていることも、J-クレジットのニーズ拡大を後押ししているようです。
今後益々、『J-クレジット』を中心に発行量が増え、制度環境整備が進められていくと見られています。

▲出所:各種調査機関の情報を参考にエナリスが作成

エナリスが創出するJ-クレジットの特徴

エナリスが発行するJ-クレジットの特徴は、太陽光発電設備所有者が“自家消費した分”の環境価値をクレジット化すること。

運開してから2年以内に登録した太陽光発電設備から発電した電力のうち、自家消費した分から生まれる環境価値を1年分程度まとめてJ-クレジット化します。

通常、太陽光発電によって生まれた『環境価値』は、自家消費した電力相当分については、家庭や事業者のもとに埋もれたままですが、これをIoT機器等を用いて計測・算定し、J-クレジット化するのです。太陽光発電設備を所有することで得られる価値を拡大するとともに、J-クレジットを使ってカーボンニュートラルを目指す企業のニーズに応えることができるというわけです。

J-クレジット創出にあたっての課題と展望

最後に、本プロジェクトを担当する竹島と田村に話を聞いてみました。

田村:J-クレジットの発行には、申請書類を提出後、審査機関の「検証」をクリアし、最終的には認証委員会の承認を得る必要がありますが、この工程に大変な労力と時間がかかりました!この工程をいかに効率化するかというのは、今後の課題になると思います。

竹島:今年6月にプレスリリースしていますが、エナリスはこうした課題をクリアにすることを目指して、J-クレジット創出の簡素化に向けた実証にも参加しています。

田村:今回は、新規導入した太陽光発電設備から発電した電力のうち自家消費した分をJ-クレジットとして発行しています。新しく再エネ設備を導入するので「追加性」があるとみなされます。

竹島:今回は太陽光発電設備導入に関するJ-クレジットですが、カーボンニュートラルを目指す企業から求められているのは“排出量を無効化できるクレジット”なので、太陽光発電設備のJ-クレジットに限定する必要はありません。太陽光発電設備を使うことにこだわらず、幅広い視点でクレジットの創出方法を検討していきたいと考えています。

J-クレジット分野におけるエナリスの挑戦ははじまったばかりです。
J-クレジットのさらなる活用拡大に向けてエナリスの発想力・技術力・推進力を駆使していきますので、今後の活動にもぜひご注目ください!

写真はすべて©ENERES

文責 エナリス広報部

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