発電容量572MWを動員し再エネ発電インバランスの解消に挑戦
2021年06月09日「令和3年度 再生可能エネルギーアグリゲーション実証事業」に採択
株式会社エナリス
エナリス (本社:東京都千代田区、代表取締役社長:都築実宏、以下、エナリス)はこのたび、経済産業省が実施する「令和3年度 再生可能エネルギーアグリゲーション実証事業」(執行団体:一般社団法人環境共創イニシアチブ)に採択されました。再生可能エネルギー(以下、再エネ)の主力電源化に向けて、発電量が変動しやすい再エネを束ねて制御する再エネアグリゲーション技術を向上させることを目的に、17社で実証事業を実施します。
再エネアグリゲーションとは、計画上の発電量と実際の発電量の過不足(インバランス※1)を、再エネ発電所を束ねるアグリゲーション技術を使って解消する仕組みです。
FIT制度見直しによるFIP制度※2への移行や、RE100達成のための非FIT再エネ電力へのニーズが増加する中、再エネ発電事業者と小売電気事業者の双方に再エネ発電によるインバランスリスクが生じます。エナリスは、再エネの主力電源化のために、この再エネアグリゲーションという新しい事業領域にいち早く着目し、昨年度からVPP実証事業のテーマの一つとして検証を進めてきました。
今年度の実証では、昨年度に引き続き、再エネ発電事業者をグルーピングすることでインバランスを低減させる“ならし効果”の検証や、発電所に設置された蓄電池等をインバランス発生量に合わせて充放電する技術開発などを行います。
また、需要側分散電源(DER)のアグリゲーターでもあるエナリスの立場を活かし、発電側再エネアグリゲーションと需要側DERアグリゲーションを連携させて需給バランスをとる「需給一体調整」の検証も進めます。
参加する発電設備の出力容量は、LNG火力発電所の発電機一基分に匹敵する約572MW※3。当社における過去最大規模の実証となります。さらに、再エネインバランスの調整電源としてガス火力発電所も活用する計画です。
■需給一体調整イメージ
エナリスは、再エネアグリゲーションへの取り組みを通じ、豊かな未来社会づくりに貢献する新しい電力システムの実現を目指します。
■実施体制図(17社)
■本実証の概要
事業名 | 再エネ主力電源化に向けたDER活用電力システム構築実証事業 |
実証期間 | 交付決定日~2022年2月22日 |
コンソーシアムリーダー | 株式会社エナリス |
再エネアグリゲーター | 株式会社エナリス、東邦ガス株式会社、MULユーティリティーイノベーション株式会社、自然電力株式会社、戸田建設株式会社 |
実証協力者 | JREオペレーションズ株式会社、株式会社レノバ、会津電力株式会社、国際航業株式会社、ENEOS株式会社、Jパワー、シェルジャパン株式会社、東急不動産株式会社、ハンファQセルズジャパン株式会社、東芝三菱電機産業システム株式会社、株式会社横浜環境デザイン、株式会社アドバンテック |
実証エリア | 北海道、東北、 東京、中部、関西、中国、九州ほか |
実証設備 | ①太陽光発電所(野立て、屋根置き) ②風力発電所 ③火力発電所 ④産業用蓄電システム ⑤EV |
実証内容 | 再エネ予測技術開発・検証: ・再エネ発電予測技術開発と予測精度評価 ・PV余剰売電量予測の開発・評価 発電BG(バランシンググループ)インバランス回避手法の検討(一部独自): ・発電BG組成効果の検証 ・インバランス低減手法の検討 ・発電側制御可能リソースによる発電BGバランシング検証 蓄電池等による再エネ発電量制御: ・市場価格に連動したESS制御の検証(GC前) ・蓄電池による計画値同時同量制御の検討(GC後) 需給一体調整に関する検証: ・発電BGと需要BGの連携について課題等の抽出 |
- ※1:インバランス:発電量実績値の計画値から外れた分、ペナルティ(インバランス料金)を払う必要がある
- ※2:FIP(Feed-in-Premium)制度:2022年から適用される。再エネ発電事業者が発電した電力量に対して、基準価格(FIP価格)と市場価格の差額をプレミアム額として交付することにより投資インセンティブを確保する制度
- ※3:572MW:一般家庭の年間消費電力量を3600kWhで計算すると一般家庭約16万世帯