NEWSニュース
ニュースリリース

カーボンニュートラルに向けたデジタル通貨でのサステナビリティリンク・ローンの実証実験を東京都・ディーカレットDCP・三井住友銀行と協同で実施~再エネ取引データ×デジタル通貨で新たなサステナブルファイナンススキームを検証~

2023年02月15日

株式会社エナリス

株式会社エナリス(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:都築実宏)は、株式会社ディーカレットDCP(以下、ディーカレットDCP)が事務局を務めるデジタル通貨フォーラムにおいて、再生可能エネルギーの取引データおよび発電所の第三者スコアリングレポートを活用し、デジタル通貨DCJPY(仮称)によるファイナンス実証実験を行うことをお知らせいたします。本実証実験は、エナリスと東京都、ディーカレットDCP、三井住友銀行の4者で行います。(電力取引分科会 サブグループB、グループ幹事:エナリス)

エナリスは、脱炭素社会実現のためには、“再生可能エネルギー価値の最大化”と“再生可能エネルギー取引の活性化”が重要なポイントになると考えています。これまで、ブロックチェーン技術を使ったP2P電力取引プラットフォームを構築し、再生可能エネルギー使用の顕在化(証明)と評価、再生可能エネルギー価値の流通に関わるさまざまな実証事業を行ってきました。デジタル通貨フォーラムには2021年度より参加し、P2P電力取引プラットフォームと二層構造デジタル通貨プラットフォームを連携した“脱炭素・カーボンフリー”につながる新たな仕組みをつくりだすことを目指してきました。

エナリスがグループ幹事を務める電力取引分科会 サブグループBでは、電力ユーザーが取得した再生可能エネルギーや電力取引データを、企業の事業や資金調達などのファイナンスサービスへ活用するユースケースの検討を進めています。2022年3月には電力取引実績・電力購入先情報の取得、スコアリング、可視化の手法を活用したユースケースについて机上にて協同実証を行いました。  

今回は、エナリスが運用を行うP2P電力取引プラットフォームでの再生可能エネルギーの取引で発生する決済において、デジタル通貨DCJPYを活用するとともに、デジタル通貨DCJPYでの貸付(サスティナビリティ・リンク・ローン:以下SLL)を行うファイナンスサービスの実証実験を行います。デジタル通貨DCJPYを活用してのファイナンスサービスの実証実験は、今回が初めてとなります。

エナリスは、分野を超えたパートナー企業の皆さまとともに、再生可能エネルギーの価値最大化と取引活性化を後押しするイノベーションを生み出し、再生可能エネルギー主力電源化および脱炭素社会の実現に貢献します。

ファイナンス実証実験について

1.背景と目的

昨今の世界的な脱炭素化に対する取り組みが加速する中、日本においても再生可能エネルギー電源の導入が求められており、再生可能エネルギー取引データ(電力・環境価値データ)の活用が進んでいます。しかしながら、再生可能エネルギー発電所の増加に伴い、環境に悪影響を与える粗悪な発電所も増えています。このような状況において電力ユーザーは、真に環境に配慮された発電所であることを証明する「第三者による再生可能エネルギー電源の環境配慮証明」を取得している発電所から、“クリーンな再生可能エネルギー(以下、クリーンエネルギー)”を調達することが重要になると考えられます。

このような背景を踏まえ、デジタル通貨フォーラム電力取引分科会 サブグループBでは、クリーンエネルギーの利用実績等の増加がファイナンスサービス優遇の条件となる「再生可能エネルギーの取引データおよび発電所の第三者スコアリングレポートを活用したファイナンス実証」を実施することといたしました。クリーンエネルギーの取引データをキーとしたファイナンスサービスで企業の脱炭素を促進するだけでなく、企業自らの主体的な脱炭素行動を創り出す循環を生み出すことが可能になることを期待し、本実証実験にて将来的な可能性を模索します。

2.実証実験の概要

今回の実証実験では、エナリスが運用を行うP2P電力取引プラットフォームを用いた再生可能エネルギー取引で発生する決済およびSLLの実行等をデジタル通貨DCJPYで行います。本実証実験には、比較的柔軟な目標設定が可能なSLLのサステナビリティ目標(以下:SPTs)にクリーンエネルギーの利用実績等が設定されていることを条件としたサービスが適していると考え、SPTsおよび金利テーブルをP2P電力取引プラットフォームに設定し、金融機関のSLL実行等をデジタル通貨DCJPYで行います。

■実施日:2023年2月24日(金)

■実施内容

①クリーンエネルギーの利用実績取得とデジタル通貨による支払いの実証

➁電力ユーザーがSLL契約のためSPTsを設定し、SPTsおよび金利テーブルをP2P電力取引プラットフォームに持たせ、金融機関のSLL実行をデジタル通貨で行う実証

➂電力ユーザーが融資を受けた資金使途制限の実証

④再生可能エネルギー利用率・GHG(Green House Gas)排出量削減率等のSPTs評価結果に基づき金利徴収を行う実証

⑤実証実験に非中央集権型自立分散組織(DAO)の仕組みの活用可能性を検討し、可能性がある場合は実装し課題を検証
※金融機関側の融資資金の調達、DAOの仕組み活用については机上検証

■電力取引データ等を活用したデジタル通貨DCJPYによるファイナンスサービスイメージ

■実証実験に参加する企業(電力取引分科会 サブグループB)
株式会社エナリス(幹事)/東京都/株式会社三井住友銀行/株式会社ディーカレットDCP(事務局)

デジタル通貨フォーラムとは

デジタル通貨フォーラムは、金融機関をはじめ、小売・運輸・情報通信・電力・商社・自治体・ICT・鉄道・製造業など広範な分野にわたる100の企業・自治体・団体、有識者およびオブザーバーとしての関係省庁・中央銀行が参加。金融インフラのデジタル化を通じて経済・産業の発展と効率化に貢献すべく、日本におけるデジタル通貨の実用化を検討する取り組み。

※本プレスリリースに記載されている社名、製品名などは、各社の登録商標または商標です。